2020年03月14日

役員報酬0の「経営・管理」の更新2

「経営・管理」の在留期間更新許可、旧会社が債務超過で解散予定、新会社を設立しての更新に加え、申請人の役員報酬が0、無報酬だったことは前回書いた。
ベテランの先生にとっては珍しい事案でないかもしれないが、ネット上にはあまりあがっていない情報なのでやや詳しく説明する。

実を言えば、役員報酬が一年間0だったことを知ったのは更新申請直前になってから(旧会社解散、新会社設立の情報は知らされていた)。
情報の共有ができていない点は恥じ入るばかり。
日本人の場合と同等額以上の報酬を得ることが重大な要件だと申請人も十分理解していると思っていた。
報酬を理由なく減額することが問題となると教えておいたはずなのだが。
(日本人の場合と同様の報酬を得ることは「上陸許可条件」の一つだが、資格変更や期間更新においても考慮される。理由がなく報酬を減額することさえ、問題となる。)

そこで、理由書において
1 申請人が自主的に決定したこと。
2 旧会社が債務超過であり、新会社においても財務状況に不安があったこと
3 新会社設立において、財務状況が安定するまで、役員報酬を0にすることは日本の会社において珍しいことではなく、むしろ役員の誠実さを示す事実とされていること。
4 申請人はヨーロッパの本社からの給与、資産運用によって、日本での生活に不安がなかったこと。
5 他の役員全員(日本人役員含む)も同時期無報酬であったこと(詭弁めくが3の事実と合わせ、日本人と同等額の報酬を得ていたともいえる)
6 現在は役員報酬の支払いを受けていること
7 そもそも、日本人と同様の報酬を受けるべきという要件の趣旨は、搾取を防ぎ、申請人の生活を安定させ、もって在留活動を十全ならしめることにあると考えられるが、上記1〜7の事実から今回の無報酬は「経営・管理」の在留活動を十全ならしめるための一時的なものであり、上記の趣旨に反しないと主張した。
無報酬決定の議事録、報酬開始決定の議事録の写しも添付した。

付け加えれば、今回提出した直近の「所得・課税証明書」は報酬が支払われていた時期のもので、ごまかそうと思えばできないことはないケースだった。
しかし、1年ビザしか許可されなかった場合、次回の更新で必ずばれる。
今回、不利な事実を隠したと思われるのは危険。
あえて、議事録の写しと理由書を提出し、無報酬の事実を申告した。
そのあたりが評価されたのかもしれない。

いうまでもなく、更新において報酬は0どころか減額も好ましくない。
やむをえず減額する場合は、
1 減額後も日本人が受ける場合と同等額以上といえること
2 減額する正当な理由があること
3 減額が一時的なものであること
を説明した理由書と減額についての議事録等を添付する必要がある。

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posted by 行政書士  小林 憲一 at 12:41| Comment(0) | 外国人ビザ
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