2020年04月01日

餅は餅屋

「餅は餅屋」ということわざがある。
私は「餅を作るのは素人にはできない。素人にはできない仕事は専門家にまかせるべき」という意味の言葉だと思っていた。
しかし、本来の意味はちがうらしい。
昔は餅は家庭で作るものだった。
各家庭に小さいな臼と杵があり、正月にはもち米を買い、自宅で蒸して餅をつくるのだ。
餅は本来家庭でつくるもの。
しかし、餅屋の餅は家庭でつくる餅とは一味ちがう。
素人ができる仕事でも、その道のプロ、専門家の手際のよさは一味ちがうから、大事な仕事は専門家にまかせるべきという意味らしい。

まさに、プロは一味ちがうという体験をしたことがある。

フィリピン人のビザ申請でフィリピンの結婚証明書と出生証明書を提出することになった。
原文は英語。
入管に提出する書類は外国語であれば日本語の翻訳文を添付しなければならない。
いつも、自前で翻訳するのだが、そのときは期限が迫っていた。
そこで翻訳業者に依頼することにした。
ここは名前を出してもいいだろう。株式会社ビーコスという。
フィリピンの結婚証明書・出生証明書の翻訳は経験があり、それなりに自信もあった。
ところが、データ形式(word形式。これだけでも太っ腹。せこいところなら書式を使い回されるのをおそれPDFで送るところ。wordなら細かい修正ならこちらでできる)で送られてきた訳文には目を見張った。
フォーマットが原文そのままでわかりやすい。
訳文も「ここはこう訳せばよかったのか!」と驚くようなすばらしいもの。
「やはりプロ(専門家)は一味ちがう。「餅屋は餅屋」というのは本当だったんだな」と思った。

次にまたフィリピンの書類の翻訳が必要になったとき、前回味をしめた私が業者に依頼することを考えたのは当然だろう。
しかし、ビーコスさん、質はいいのだが、ちとお高い。
もっと安いところないかと探したら、ビーコスの三分の一程度でやってくれる個人業者が見つかった。
しかし、送られてきた訳文はPDF。
それだけならまだしも、あちこちに間違いが。
そもそも、年月日にミスがある。
フォーマットに直接うちこむのではなく、別の依頼で作成した訳文を使いまわし、ろくに校正もしていないのだろう。
さらに、地名・人名にもミスがある。
明らかに英語を少々かじっただけでフィリピンの人名や地名についての知識はない。
「バランガイ」という言葉も知らず、「ハビエル」を「ヒビレ」と記入する。
たしかに原文は印刷状態が悪く、読みにくいが、基本的な知識があればするはずのないミス。
例えるなら「太郎」を「犬郎」とするようなミスがある。
別に専門書を読むまでもなく、ちょっと検索すれば出てくる知識。
そのとき、もう一つのことわざを思い出した。
「安物買いの銭失い」
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【行政書士の最新記事】
posted by 行政書士  小林 憲一 at 18:38| Comment(0) | 行政書士

2020年03月29日

変わったお客さん

長いこと行政書士として相談を受けていると、たまにおかしなお客さんも来る。
おかしい人というのは最初まったくおかしく見えない。
ただ、途中から話がおかしくなる。
それでいて、全体を通してみると不思議に筋は通っている。
もちろん、一般常識からすればおかしな論理なのだが。

まだ若い女性。
彼氏がまったく働かない人なので別れたが、復縁を迫り嫌がらせをしてくるのだという。
これだけならよくあるパターン。
ところが途中から話がおかしくなる。
「先生、新聞とかマスコミで日本の悪口がよく書いてありますよね」
「まあ、そうだね(ネトウヨ系の人か、やっかいかな)」
「記事の『日本』というのは全部私のことなんです。彼が裏から手を回して私の悪口を書かせているんです!」
遠回しに精神科で相談を受けることを勧めてみたが、すでに通院しているとのことだった。

年配の女性が来た。
夫が水商売の女性と不倫関係にあるという。
これもよくあるパターン。
こちらも途中から話がおかしくなる。
水商売の女性はヴァンパイアつまり吸血鬼なのだという。
夫は吸血鬼の魔力の虜になっているらしい。
彼女によるとヴァンパイアには二種類いる。
1つ目は非合法なヴァンパイア。人の生き血を勝手に吸う。こちらは役所に勤めている吸血鬼ハンター的な人に依頼すればよい。
2つ目は政府から認可を受けた公式のヴァンパイア。こちらは国から活動を認められているので吸血鬼ハンターも手が出せない。法律の力でなんとかならないか?
ヴァンパイアというのはなにかの隠語なのかとも思ったが、そういうわけでもないようだ。
話はおかしいのだが、彼女なりの筋、論理は通っている。
現実に吸血鬼が実在したら、知性のある存在を一方的に虐殺するなど許されないだろう。国家が規制をしつつ限定的に活動を認める(相手の同意があり、相手の生命・健康を害しない範囲なら吸血を認めるとか)というのは有り得る話だ。そして、法律に違反した吸血鬼のみ取り締まられる。
役所が相手にしてくれないので、行政書士に相談するというのも筋は通っている。
結局、「そちらは専門外ですので」と説明して帰ってもらった。
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タグ:行政相談
posted by 行政書士  小林 憲一 at 08:35| Comment(0) | 相談

2020年03月28日のつぶやき














posted by 行政書士  小林 憲一 at 00:01| Comment(0) | 私法

2020年03月28日

愛情がセクハラに変わるとき

示談契約書の作成や内容証明代行をやっている関係から、私法関係(民事の権利義務関係)について相談を受けることもある。
懇意をしている会社から社内でセクハラが問題となっていると相談を受けた。
ある女性社員が既婚者の上司からしつこいセクハラを受けたと主張し、訴えるとまで言っているという。
よくあるケースだと思ったが、話を聞いてみると少し毛色がちがう。
女性社員と上司は傍目から見ても「アツアツ」だったという。
まわりから見ても、明らかに相思相愛で、上司は将来離婚して女性社員と結婚するつもりなのだとみな思っていた。
ところが、上司は女性社員との関係を清算しようと思った。
土壇場になって本当に愛しているのは奥さんだと気づいたのか、はたまた子供の将来を考えたのか。
本当のところはわからない。
もちろん、女性社員は怒った。
私との関係は結局遊びだったのかと。
そして、いままで上司にされた行為すべてが「セクハラ」として上書きされた。
愛情があればこそ許せた行為、愛情がなかったらただのセクハラ。

逆のパターンはないのかな?
最初、嫌がらせだと思っていたら、後から真剣に愛していたと気づくとか。
そんな美しい話はないか。
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posted by 行政書士  小林 憲一 at 19:33| Comment(0) | 私法

2020年03月22日

申請人に「理由書」を自筆してもらうこと

外国人ビザの申請については「理由書」を添付することが多い。
永住許可申請については明確に必要書類とされているが、必要書類とされていない場合でも添付することが多い。
在留資格認定証明書交付申請(ビザ取得)においては「なぜ、日本で生活しなければならないかという理由」を説明し、在留資格変更許可申請においては「なぜ在留資格(ビザの種類」を変更しなければならないかという理由」を説明する書面を添付する。
在留期間更新許可申請についても、別居などの特殊事情がある場合は理由書を添付する。

聞き取りによる内容を行政書士が代筆し、申請人(外国人本人)の署名をもらってもいいわけだが、その場合、申請人本人が内容を把握しているか疑われる可能性もある。
入管は雇用主と取次行政書士のみが前面にでて、申請人がつんぼ桟敷におかれているような状況を嫌う。

そこで、私は原則として申請人本人に理由書を自筆で書いてもらい(末尾にサイン)、自分でもその理由書を補足する形で理由書を作成し、申請取次行政書士として記名押印をする。
1申請人自ら手続きに関与しているという姿勢を見せることができるし、
2聞き取りの場合、どうしても齟齬が発生するおそれがある(その齟齬が後々致命傷になる可能性もある)

さらに理由書は申請人の母国語で書いてもらい、訳文を添付してもよいが、可能なら日本語で書いてもらう。
拙い日本語であってもかまわないと伝える。
ひらがな、カタカナだけでも、文法的誤りがあってもかまわない。
読み書きができなくても、日常会話に不自由しないレベルならローマ字表記(「watashi wa 3nen mae nkhon ni kimashita」)で意味のとおる日本語を書くこともできる。
これにより、申請人の日本語能力のみならず、日本への定住への熱意までも示すことができると信じている。
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posted by 行政書士  小林 憲一 at 20:49| Comment(0) | 外国人ビザ